AI処理オプションの[動画の説明]には、何の作業かを伝えるだけでなく、どういう手順書にしてほしいかを書くこともできます。「動画の説明の応用」の記事では、既定の解析とは違う形に仕上げたい場面ごとに、[動画の説明]の文面と、その文面で実際にできた手順書を紹介します。何の作業かを伝える基本の書き方は、AI解析の精度を上げる(字幕・手順の区切り・本文) をご覧ください。
この記事では、良くない対応(NG)、その場での指摘、やり直しを1本に通して撮ったロールプレイ研修の動画から、作業の手順書ではなく、NG と正しいやり方を見比べて学ぶ研修用の教材を作ります。作例は、店舗での接客のロールプレイ研修です。作例の手順書は、ログインせずにご覧いただけます(店舗接客ロールプレイ研修)。
[動画の説明]はすべてのプランでご利用いただけます。文面をテンプレートとして登録する機能は、Pro, Enterprise プランでご利用いただけます。
既定の解析では、NG とやり直しがカットされる
何も書かずに解析すると、AIは、見た人が作業を正しく行える手順書を作る前提で動画を読み取ります。そのため、作業を正しく行うのに要らないと判断した区間はカットします。たとえば次のような区間です。
- 誰も作業していない区間(待ち時間、雑談、挨拶など)
- 言い直し・やり直し(間違えた1回目をカットし、やり直した正しい方を残します)
作業の手順書ならこれで問題ありませんが、ロールプレイ研修の動画では逆になります。NG の対応と指摘、やり直しこそが教えたい内容で、挨拶やお客様の話を聞いている時間も教材の一部です。
実際に作例の動画を何も書かずに解析したところ、指摘の「違います」が言い直しの合図として読まれ、NG の場面がすべてカットされて、正しいやり方だけの手順書になりました。また、動画の中では言っていない一般的な注意(お辞儀の角度など)がコツや注意の欄に入り、設問もすべて「はい/いいえ」で答える形になりました。[動画の説明]に、どういう教材にしたいかを書くと、こうした判断を変えられます。
[動画の説明]で変えられること
[動画の説明]に書いた指示は、字幕や手順の本文だけでなく、次のところにも反映されます。作例では、それぞれ次のように指示しました。
| 変えられること | 作例での指示 |
|---|---|
| 手順の区切り方 | 指摘1回を1つの手順にする |
| カットするもの・残すもの | NG の対応・指摘・やり直しはカットしない |
| 作業内容・コツ・注意の使い分け | 正しいやり方を作業内容に、NG の対応を注意の欄に「やってしまいがちな例」として書く |
| 字幕の書き方 | NG の場面でも、間違ったやり方を指示する字幕にしない |
| 設問の作り方 | 場面を示して正しい対応を選ばせ、誤りの選択肢に動画で実際にあった NG の対応を入れる |
| 画面の注釈 | NG の始まりに「NG」、やり直しの始まりに「OK」で始まる注釈を入れる |
指示を受けてAIが判断して作るため、すべてが指示どおりになるとは限りません。できあがった手順書は必ず確認し、必要に応じて動画エディターで直してください。
作例の設定
AI処理オプション
[動画の説明]以外は、次のように設定しました。各項目の意味は AI処理オプションの各項目と選び方 をご覧ください。AI処理オプションはアップロード時に開くほか、解析済みの素材の[AI解析結果を確認]→[AI再実行]でも同じ内容の画面が開きます(題名は「AI解析の設定」です)。
| 項目 | 設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 分割の粒度 | 手順 | 指摘1回分のまとまりに近い細かさのため |
| 文章スタイル | 敬語 | 研修で読む文章として、丁寧語にそろえるため |
| 字幕スタイル | 文章と同じ | 字幕も丁寧語にそろえるため |
| 解説音声が無い動画(映像だけで解析) | チェックしない | 指摘の声を手がかりにするため |
| 設問タイプ(詳細設定) | 理解度テスト | 誤りの選択肢を混ぜて、覚えたかを確かめるため |
| 目標の手順数(詳細設定) | おまかせ | 手順の数は[動画の説明]で「指摘の回数と同じにする」と指示しているため |
| 発話が無い区間を積極的にカットする(詳細設定) | OFF | 挨拶やお客様の話を聞く時間など、話していない場面も教える内容のため |
指摘の回数があらかじめ分かっている場合は、[目標の手順数]で手順数を指定しても構いません。
動画の説明の文面
作例で使った文面です。指摘の項目や時刻など、その動画だけの内容は書かず、同じ撮り方の動画ならそのまま使える形にしています。改行を含めて991字で、テンプレートの本文の上限(1,000字)に収まります。
【この動画について】
接客などのロールプレイ研修の映像です。望ましくない対応があると、指導役(監督者やお客様役)が「ストップ」「違う」などと声をかけて正しいやり方を伝え、スタッフ役は同じ場面をやり直してから次の場面へ進みます。【手順書にしたい形】
指摘1回を1つの手順にしてください。手順の数は指摘の回数と同じにし、動画の長さから決めないでください。
1つの手順は、望ましくない対応が始まるところから、指摘、やり直しが終わるところまでです。
指摘の言葉が文字起こしに無くても、同じ場面をやり直していれば指摘があったものとし、正しいやり方は1回目との違いから書いてください。
指摘の入らない場面は単独の手順にせず、次の指摘の手順の頭に含めてください。最後の指摘より後は最後の手順に含めてください。
やり直しが次の指摘の望ましくない対応を兼ねている場合は、次の指摘の対象になった発言や動作から次の手順にしてください。
タイトルと本文は、指摘で示された正しいやり方を、そのとおり再現できる言い方で書いてください。
望ましくない対応は注意の欄に「やってしまいがちな例」として書き、本文には書かないでください。
動画で扱っていない一般論は、どの欄にも字幕にも足さないでください。【字幕】
字幕には、そのまま実践できる正しいやり方を書いてください。
望ましくない対応の場面は、その対応をするようには書かず、「〜しない」という注意にしてください。
指摘の場面は、「指摘を受ける」「指導役が伝える」のような研修の進行を書かず、指摘された正しいやり方を書いてください。【カットしないもの】
「ストップ」「違う」などは、言い間違いや撮り直しではなく指摘です。望ましくない対応、指摘、やり直しは教える内容そのものなので、カットしないでください。挨拶、視線、話を聞く時間、移動など、手を動かさない場面も教える内容です。【設問の作り方】
設問は選択式にしてください。場面を示して正しい対応を選ばせ、正解は指摘で示された正しいやり方、誤りの選択肢の1つには動画で実際にあった望ましくない対応を入れてください。指摘があったかどうか、誰が指摘したかは設問にしないでください。【画面の注釈】
望ましくない対応が始まる瞬間に「NG」、やり直しが始まる瞬間に「OK」で始まる短い注釈を入れてください。
段落ごとの役割
| 段落 | 役割 |
|---|---|
| 【この動画について】 | 何の動画かと、指摘の合図(「ストップ」「違う」)を伝えます。これが無いと、指摘の言葉が言い直しの合図として読まれます |
| 【手順書にしたい形】 | 手順の区切り方と、1つの手順に含める範囲、作業内容と注意の使い分けを決めます。「指摘の言葉が文字起こしに無くても」の一文は、指摘の声が小さく文字起こしに残らなかった場合の備えです。最後の一文で、動画で扱っていない一般論が入るのを防ぎます |
| 【字幕】 | 字幕は動画を見ながら読むものなので、NG の場面でも間違ったやり方を指示する字幕にしないよう決めます。この段落が無いと、NG の場面の字幕が「挨拶とお辞儀を同時に行ってください」のように、良くない対応をそのまま指示する文になることがありました |
| 【カットしないもの】 | 既定ではカットされる区間(言い直し・やり直し、手を動かさない場面)を、この動画では残すよう指定します |
| 【設問の作り方】 | 研修で見た場面を思い出して答える設問にします。指摘があったかどうかのような、研修の進行についての設問は作らせません |
| 【画面の注釈】 | NG とやり直しの切り替わりを、動画の上に表示させます |
別の種類の研修動画に使う場合も、この段落の分け方をそのまま使い、中身だけを書き換えると組み立てやすくなります。
作例の解析結果
この文面と設定で解析し、少し手直しをして公開したものが作例の手順書です。入店から見送りまでの約6分の動画が、次の8つの手順になりました。
- 挨拶とお辞儀の分離
- お客様の着座サポート
- 対面時の姿勢とアイコンタクト
- 離席時の個人情報管理
- お客様の話の傾聴
- 手のひらを使った指し示し
- 説明後の不明点確認
- お出口までの見送り
どの手順にも、NG の始まりに「NG:〜」、やり直しの始まりに「OK:〜」の注釈が入り、注意の欄には「やってしまいがちな例」が入りました。たとえば1つ目の手順は次のとおりです。
| 欄 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 挨拶とお辞儀の分離 |
| 作業内容 | ・お客様をお迎えする際は、まず「いらっしゃいませ」と挨拶をしてください。 ・挨拶の言葉を言い終えてから、丁寧にお辞儀をしてください。 |
| コツ | 挨拶とお辞儀を同時に行わないように意識する |
| 注意 | やってしまいがちな例:挨拶をしながら同時にお辞儀をしてしまう |
| 画面の注釈 | NG:挨拶とお辞儀が同時 OK:挨拶のあとにお辞儀 |
設問は、8つの手順のうち5つが、場面を示して正しい対応を選ぶ形になり、誤りの選択肢には動画で実際にあった対応が入りました。たとえば3つ目の手順の設問は次のとおりです。
お客様と対面で会話をする際、正しい姿勢と視線はどれですか?
- 体をお客様に向け、目を見て話す(正解)
- タブレットの画面を見つめたまま話す
- 手元の資料だけを見ながら話す
残りは「はい/いいえ」で答える設問が2つと、設問の無い手順が1つでした。このように指示と違う形になる箇所もあるため、設問は確認して、必要に応じて直してください(手順毎の設問設定)。
また作例では、指摘の声をそのまま聞かせるため、字幕の読み上げは使わず、動画の元の音声を残しています(読み上げ・動画音声ミュートの設定変更)。
撮影のときに気をつけること
この使い方では、撮り方が結果を大きく左右します。次の4点を守って撮影してください。
- 指摘は声に出す。手順の本文は指摘の内容から作られるので、聞き取れる音量で話します
- 指摘のあと、正しいやり方を最後まで通す。これが作業内容になります
- 1回の指摘では、1つのことだけを指摘する。2つ重ねると、1つの手順に2つの内容が入ります
- NG の対応からやり直しまでを、途中で止めずに続けて撮る
指摘するのは、監督者でもお客様役でも構いません。一度止めてやり直しても、流れの中で直しても解析できます。スタッフとお客様役、手元を同じ画面に入れやすいため、横向きでの撮影をおすすめします。
文面をテンプレートに登録する
同じ撮り方の動画を繰り返し解析する場合は、文面をテンプレートに登録しておくと、[動画の説明]の欄の右上のアイコンから挿入できます。
- サイドバーの[辞書・テンプレ]を開き、[テンプレート]タブで[動画説明]を選びます
- [雛形を作成]を押し、名前と本文を入れて保存します。名前は、[動画の説明]で選ぶときに何の動画用か分かるものにします(例:「ロールプレイ研修:NG とやり直しを残す」)。本文には上の文面を貼ります。本文は1,000字までです
- アップロード時に開くAI処理オプションで、[動画の説明]の右上のアイコンから、登録した雛形を選びます
テンプレートは Pro, Enterprise プランでご利用いただけます。登録と編集は、チーム管理者以上の方が行えます。
よくある質問
Q. NG の場面がカットされてしまいます。
A. [動画の説明]に、指摘の合図の言葉(「ストップ」「違う」など)と、NG の対応・指摘・やり直しをカットしないことを書いて、解析し直してください。カットされた区間は、動画エディターで元に戻すこともできます。
Q. 指摘があったのに、手順が分かれていません。
A. 指摘の声が小さいと、文字起こしに残らず、指摘として扱われないことがあります。作例の文面にある「指摘の言葉が文字起こしに無くても、同じ場面をやり直していれば指摘があったものとし」の一文が、その備えです。撮影の際は、指摘を聞き取れる音量で話してください。手順は、動画エディターで分けることもできます(手順区切りの調整)。
Q. 文面を変えて、結果を見比べたいです。
A. 素材をコピーしてから[動画の説明]を変えて解析し直すと、元の結果を残したまま見比べられます(解析条件を変えて試す(素材をコピーして再解析する))。
Q. 専門用語集の[この現場について]に、別の業種の内容を登録しています。
A. [この現場について]と専門用語集の内容は、すべての解析の前提としてAIに渡されます。登録した業種と違う種類の動画を解析するときは、作例の【この動画について】のように、何の動画かを[動画の説明]ではっきり書いてください(専門用語集(用語と多言語対訳))。